やっちゃんのあぐだもぐだ
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2014/06 の記事一覧
くもと遊びにお出でください
6月中旬になったら、気候が安定してきたように感じられます。安達太良山の上に小さな雲が浮かんでいます。梅雨の晴れ間から見える安達太良山は残雪が例年より多いようです。5月中旬から7月にかけての安達太良山には全山ツツジ科の植物が花を付けます。少し雨が降って靄がかかっている時のヤシオツツジの色は、白の世界にいきなり幻想的な紫色が素敵に見えます。五葉松平、仙女平、僧悟台などのサラサドウダンは太く大きな株にたくさんの可憐な花をつけます。6月下旬から7月上旬にかけてはハクサンヤエシャクナゲの大輪の花が五葉松平や勢至平に咲き競います。ハクサンヤエシャクナゲの株も大きく登山道にはみ出して来る様はまるで人間の進入を拒否しているのではと思えるほどです。イソツツジは随所に見られますが、シャクナゲをかなり小ぶりにした感じの枝と花を付けるので慣れないと見落としてしまいそうになります。頂上付近に近づくとミネズオウ(峰蘇芳)やジムカデ(地百足)がガレ場を這うように地表を覆います。
前置きが長くなりましたが安達太良山はツツジ科の植物の垂直分布が狭い範囲で見られる特異な山です。日本百名山と花の百名山の2つの冠がついた山として多くの登山者に親しまれておりますが、ツツジ科の植物の垂直分布に特徴があることは意外と知れ渡っていません。安達太良山の8合目・標高1500m付近からは灌木地帯になり、尾根筋はほとんど植物の生えないガレ場です。余り高くない標高の山ですが、尾根筋の景観はアルプス一万尺の感じであると言われ人気の山の所以です。古代には万葉集にも読まれ、高村光太郎の『智恵子抄』の「ほんとうの空」として空の青さと山並みの美しさは他所に引けをとらないと自負いたします。
最近の話題としてはNHK朝ドラ『花子とアン』放映のお陰か、「ひょっとしたら、お宅に柳原白蓮の書がありますよね!」とか「ほんとうに白蓮さんがお泊りなのですか?」のような問い合わせがきます。白蓮の書は1階の暖炉の横の大きな額です。
『岳 くもとあそび 風とうたへる 春秋の 世の塵しらぬ やまの湯の宿 白蓮 昭和27年 初秋  於 東館』
今までは館内の普通の飾り絵と同じ感覚で気にも留めませんでした。長い間お客様の目に触れ、お客さまからのご指摘で大事な書であることを再認識しました。ありがとうございます。
どうして、岳温泉のあづま館にお出でになったのは今となってはよく分りませんが、二本松出身で日本の耳鼻咽喉科の草分けである久保猪之吉博士との関係かもしれません。私の母が白蓮さんと昔のスキー場まで散策した時に詠んだ歌のようです。写真は白蓮の歌の書です。安達太良の地は世の塵を知らぬ美しさを保っています。シャクナゲの花が揺れる夏の山にお出でください。