やっちゃんのあぐだもぐだ
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2007/12 の記事一覧
年の瀬雑感
亥年から子年へ、来年はどんな年になるのでしょうね?2007年を表す言葉が『偽』であったことは、私たち旅館業にとってはまったく他人事ではないことであり、新年からはより正直であらねばならぬと身が引き締まる思いです。平成の世になってから来年で20年、冬至、天皇誕生日、クリスマスイブ、クリスマスと続き、あっという間に御用納め、大晦日となってしまい、昭和時代よりも何となく休みモードに切り替わるのが早いように感じます。年の瀬も押し迫った12月に2度ほど東京へ行きましたが、発光ダイオード発達のお陰かイルミネーションがますます派手に豪華に街を彩るようになったのは驚きます。それぞれの拠点駅などの電飾はまるで映画の世界、現実の世の中を忘れさせるような街の仕掛けに驚きます。また、自分の商売柄か、食品売り場の様相が極端に様変わりしているのが気になります。岳温泉は10年前から地域ぐるみで食品のリサイクルに取り組んでおり、旅館から出た食べ残しを有機肥料化し二本松の有機農家と提携して有機野菜や酵母発酵飼料で育てられた牛肉を使っています。循環型社会のモデルみたいなこの事業は地味な取り組みであり、旅館でお客様に提供する有機野菜なども決してメイン料理にはならないと思っています。でも、東京駅の地下街フードコートに有機食材や生産者にこだわった食品類がメインになっているので考え方を一歩進めたほうがいいように今は感じています。行列のできるドーナツやかりんとう店、全商品が有機食材や全国の自慢の生産者の食材で作った惣菜店など世の中の変わり目を垣間見て新年を占いたいと思います。
写真は2007年12月26日午前7時10分頃の『かぎろひの月』です(旧暦11月17日)。冬至の後の日の出で雪化粧した安達太良山がサーモンピンクに染まり、十六夜の月が別れを惜しむように天空に浮かびます。柿本人麻呂の気分でのワンショットです。良い年をお迎えください
『癒し」から『愉し』へ
いつの時代にも「百家争鳴の如く」観光地論が起こります。バブル期には適地と思われる土地はことごとくゴルフ場やスキー場になり、温泉が掘り当てられ、色々なテーマパークなる遊び場が各地に出現しました。温泉旅館も増改築が進み、いつしか木造継ぎ足しの旅館が鉄筋コンクリートのビルに変身しました。新幹線停車駅ビルがエスカレーターでスキー場ゴンドラにつながり、都会から突然『雪国』に入るようなリゾートも出現しました。世界最大の屋内スキードーム『ザウス』は将に夢見たいな話、平地に突然巨大な恐竜のような建物が現れ、いつの間にか消失してしまいました。私事ながら地元の子供たちを引率して真夏の西船橋にスキー合宿に行っていた頃が懐かしく感じられます。巨大なドームは何だったのでしょう。外側は30度C、内側はマイナス2度。プロジェクトを計画化したときは絶対に採算が合うと思って建てられたのでしょうね。世界一の造船技術を使って……。
バブルが崩壊して、銀行や証券会社の破綻、リゾートも破綻、郵政民営化、自治体合併などとあらゆる要素が根本的に組み替えられてきました。インターネットの出現、携帯電話の急激な普及は観光地の変化にも大いに関係があるような気が致します。
そんな中で温泉場の流行になってきたのが『癒し』。キーワード『癒し』が売れ筋になることは、よほど心や体が病んでいるに違いありません。こんな風潮の中、色彩も、タレントも、温泉場も売れっ子は癒し系になってしまった感があります。それでも私などは『癒し』の言葉に抵抗がありました。無理して考えた屁理屈が、「病垂(ヤマイダレ)をはずして、心を前に持ってくると『愉し』だよ」と反発していました。
ある雑誌の『温泉観光地の視点』という観光地論に…「癒し」に加えて積極的な意味づけを…という表現でマズローの欲求段階説からの考察が述べられていました。一般的に「生理的レベル」の欲求が満たされると「社会的レベル」の欲求が高まり、「自己実現のレベル」の欲求が最も強い力を持つようになるというのが欲求段階説ですが、観光行動にも当てはまるようです。
わが岳温泉は日本一長い引き湯の温泉場です。今から約180年前から町ぐるみで移転してきたからその度に引き湯せざるを得ませんでした。昭和の初期にスキー場を作り、登山道をつくり積極的に安達太良山を活用してきた温泉場です。だから『癒し』だけでは物足りなくニコニコ共和国だったりウォーキングコースを作ったりいています。『癒し』以上の存在理由を自ら背負う事がここで生きる自分達の存在理由だったと解釈致します。そろそろ、世の中の気持ちもより積極的な生き方に意義を見出すような世相に転換してくるように思えます。私の干支『亥年』も間もなく終え、子年に入ります。思い切って十二支の初めだから『愉し』が前面に出るような積極的で愉しい観光地づくりにさらに邁進しようと思う年の瀬です。
わが家のえびす講
今年のえびす講は11月29日でした。昭和9年の創業以来、わが宿の大事な年中行事の一つなっていますが、少し昨年までと違った事をしました。私の還暦に合わせて、自宅の神棚から事務所の神棚に、恵比寿様大黒様に出張してもらいました(写真)。お陰で全従業員の皆さんに、わが家のえびす講のいわれ因縁を伝える事ができるようになりました。えびす講は旧暦の10月20日に商売繁盛を願って行われる行事です。昔はどんな家でもやっていたようですが、最近ではこんないい風習が残っているのは少なくなっていますが、わが宿では頑固に守り続けるつもりです。なぜ頑固に続けているのかは、創業の時に祖父が引き継いだ旅館の神棚の奥に見つけたのが小さな木箱だったからです。中に入っていた恵比寿・大黒様を引き続き大事に守り通してきたからです。それ以来73年間、東館の年中行事として、旧10月20日にお出ましいただく商売繁盛の大事な守り神なのです。小さな恵比寿大黒様の傍らには大きな打ち出の小槌、三方には預金通帳、宿帳、現金を供えます。今年は、聖徳太子のレプリカに登場してもらいました。生きた鮒を5匹、お煮しめを酒のつまみにみんなで参拝し商売繁盛を祈念いたします。世の中がいくら変化しても人の心は急激に変わらないものです。11月23日で菊人形が閉幕し秋のシーズンも終わり、忘年会の季節に入りました。12月24日、25日は恒例のあづま館クリスマスパーティーが行われます。こちらも大事な年中行事の一つです。和洋ごちゃまぜの感もありますが、旅館に宿泊してのクリスマスパーティーもおすすめです。是非、お出で下さい。